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「ご当主。
お疲れ様です。
もうすぐ徳力総本家のヘリポートへと
到着いたします」
悧羅学院悧羅校。
授業を終えてから、
一度、徳力本社ビルで仕事を終えて
その後、業務提携中の企業との商談を終えて
今は総本家に向かうヘリの中、
シートに体を預けていた。
操縦する久松(ひさまつ)の声を受けて
ゆっくりとヘリから地上を眺める。
広がるのは緑の絨毯。
そう言うと聞こえはいいけれど、
今俺の下に広がるのは、
九年前、水害の犠牲になった
阿部村(あべむら)。
飛翔こと、親父の弟である
早城飛翔(はやしろ ひしょう)と
再会するきっかけになった、
あの災害の被災地。
その日、時間を止めて人が入ることもなくなり
自然に帰った村。
その村が、今年の六月。
ダムの底に沈むことになった。
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