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大きな生き物とは違う、白くて大きな生き物達に、身体中になにかを貼られたりしながら、何回か暗くなったり、明るくなったりした後。
僕は、大きな生き物の住みかに居た。
もう身体は、あんまり痛くない。
これはきっと、大きな生き物が、白い大きな生き物達の所に、連れて行ってくれたからなんだろう。
そして、そんな大きな生き物はというと……。
なにやら、少し小さい生き物の前で、縮こまっていた。
「あのさぁ、何で私が猫の治療費を出さなきゃいけないわけ!?」
少し小さいのが、大きいのをにらみつける。
すると大きいのは、目をそらした。
「……仕方ないだろ、俺、金ないんだから」
少し小さいのが、震えだす。
「金の無い奴が、動物病院使うなよ! だいたい恥ずかしくないわけ!? 妹を呼び出して払わせるなんて!?」
「し、しょうがないだろ! いきなりだったし……。今にも死にそうなの、ほっとくわけにもいかないだろ!?」
大きいのが、僕を見る。
つられるように、少し小さいのもこちらを見た。
「…………チッ! 後で絶対返してもらうからね!」
「すまん、恩に着る。それで、ついでに相談なんだが……」
大きいのが、僕を捕まえ少し小さいのの、前に出す。
「こいつを飼ってくれないか?」
スパーン!
強烈な一撃が、大きいのの頭に突き刺さった。
僕は思わず、飛び降りて逃げる。
…………怖い。
「ふざけんな!」
大きいのが、頭を押さえる。
「いっつー、だって何回も言ってるけど、俺には、こいつを養う余裕、無いんだよ!」
「『無いんだよ』じゃねぇよ! だったら働けよ! このくそニート!」
「は、働き先だってすぐ決まる訳じゃないし、俺はもうカツカツなんだから、やりようがないだろ!?」
大きいのが、両手を合わせて頭を下げる。
「だから頼む! ずっととは言わない、せめて、こいつの新しい飼い主が見つかるまで、飼ってくれ!」
「……断る! 新しい飼い主なんて、そう簡単に見つかるもんでもないし……」
首を振って少し小さいのが、大きいのを指さす。
「だいたい、拾ったのはあんたでしょ!? だったらあんたが身を削ってでも責任もて!」
大きいのは、目線を反らした。
「……俺だって、拾いたくて拾ったんじゃねぇよ」
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