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俺は、月のない夜空の下目を覚ました。そこは、さっきまでいた湖だった。
そして、全てを思い出した。
四年前の今日、美樹が言っていたように、俺らは湖へ星を見に行った。そして、帰り道、俺は車に轢かれそうになった。本当は、俺が轢かれるはずだった。なのに気が付くと美樹が血だらけになり、俺の目の前にいた。きっと、俺を庇っての結果なのだろう。急いで救急車を呼んだが、間に合わなかった。
俺のせいで美樹は死んだ。俺が星を見に誘わなければ!俺が車に轢かれないように注意していれば!美樹は今も生きていたのに!
その事故があってから、俺は毎年この日に湖へ行き、美樹に謝り続けた。後悔の念がぐるぐると渦を巻き、それに押しつぶされそうだった。
そして、今日、とうとう耐えらなくなり、湖に身を投げたのだ。俺は、そこで死のうとした。しかし、美樹に会い、前を向き歩み出せと言われてしまった。これは、ただの都合のいい夢だったのかもしれない。それでも俺にとっては十分すぎるものだった。
ポケットに手を入れると、固い何かが指先にあたった。それを取り出すと、美樹からもらったキーホルダーだった。目頭が熱くなるのを感じ、空を見た。あの日と同じ満天の星空だった。
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