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「イツキさんもシャワー浴びて来なよ。ギブス外れて久しぶりに脚見たら筋肉落ちててビックリした。」
無地のTシャツに黒いハーフパンツ姿で現れた芹沢くんは右脚に薄いサポーターをしていて見て解るくらい若干細くなっていた。
集中していたハズの尚くんがコーヒーに気付いて飲みながら芹沢くんの脚を見て吹き出しそうになった。
「何それ。ギブスしてるとそんななるの?」
「うるせーよ。黙って仕事しとけ」
「もう終わった。メール確認してただけだし」
冷蔵庫からミネラルウォーターを出して芹沢くんは尚くんの横にあるソファーに座って煙草を吸っていた。
「歯医者が煙草吸うってどうなの?」
尚くんが嫌味まじりに言った。
「歯磨きしてれば問題ねー」
「俺は煙草は吸わないから」
「吸わないで済むなら吸わない方が良いんじゃね?」
「イツキさん何か病気なの?病院で知り合ってから付き合ってんでしょ?」
「まぁ色々とね」
「結婚も考えてんだ?」
「まぁな。」
灰皿に吸いかけの煙草を置いてペットボトルを開けてミネラルウォーターを一口飲んだ。
パソコンの画面を芹沢くんに向けて尚くんは見せた。
「冷蔵庫に入ってる注射のキット、あれ、イツキさんのでしょ?」
「調べたのか?」
「ちょと気になって…命には問題無いけど子供は…」
「その話、イツキさんの前ではしないでくれ、本人気にしてるから」
「文也が良いって言った意味解った。俺には無理だ、母さんに言えないもん」
「親は関係無いよ、俺らの問題だからさ。」
短くなった煙草を吸って灰皿に揉み消した。
「何で?親は普通、孫の顔は見たいでしょ」
「関係無いよ、子供の出来ない夫婦だっていっぱい居るだろ?孫の顔はお前が見せりゃ良いだろ?」
「何でわざわざ…」
「この話は終わり、パソコンしまえ」
私はそんな会話が起きていた事も知らずにシャワーを終えてリビングに戻ってきた。
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