情熱的さは家系ですか?

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ようやくドライヤーの音がしなくなって芹沢くんはまだ眠そうに起きあがってリビングに出ていった。 私もリビングに出ていくと今度はメイク道具と格闘している尚くんは鏡を見たままアイメイクに集中していた。 「おはよう、又やってんのか?辞めるんじゃなかったのグンソク」 「うるさいな、邪魔すんなアイラインズレるだろ」 「今日は出掛けんの?」 「クライアントと打ち合わせ。文也よりは帰り早いから鍵置いてけよ」 「無くすなよ?スペアこれしかないからな」 「解った。」 私達も歯磨きしたり洗面したり出掛ける準備をしていると。 「よっしゃ、今日もイケテるぞ」 どうやらメイクが終わったようだ。 納得がいったようで何よりです。 私達も丁度家を出る時間になった。 「尚くん、またね」 「うん、またねイツキさん」 玄関で待機していた芹沢くんは私のお泊まりセットを持って待っていた。 鍵をかけて駐車場に向かっていった。 昨日と同じ道のりで私をマンションへと送り、芹沢くんは名残惜しそうに職場へと向かっていった。 私は家に帰ってきてから朝食を済ませてまったりしていた。 洗濯や掃除を済ませて一服していたらスマホが芹沢くんからLINEのメッセージを受信した。 『今度は尚に邪魔されない時に会おうね』 『仕事中でしょ、真面目に仕事してよ。会えるの楽しみにしてるね』 『また、LINEするね』 芹沢くんは本当にマメだな。 感心して充電器にスマホを戻そうとした。 急にスマホが知らない番号からの着信を知らせた。 誰だろう。 出た方が良い? 悩んでたら切れた。 今度は今掛かってきた番号からのショートメールが届いた。 『尚です。何かあった時の為に登録宜しく。因みにイツキさんの番号は文也のスマホから失敬しました。この事、文也には内緒ね?』 そういえば芹沢くんはリビングにスマホの充電器置いてたっけ。 『電話出なくてゴメンね。了解しました。』 尚くんから密かに連絡がきたことは二人だけの秘密になった。
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