情熱的さは家系ですか?

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このところ早朝から夜までの現場で疲れが貯まっていたのだろう。 私はお風呂に入ってからソファーで眠気と戦っていた。 眠気が限界に達してベッドに移動して眠ろうとしていた。 突然インターフォンが鳴った。 こんな時間に誰だろう? ドアフォンの受話器を取った。 「俺、文也」 「ちょと待ってて今ドア開けるから」 慌ててドアチェーンを外して鍵を開けた。 ドアを開くと芹沢くんが立っていた。 「会いたくなって来ちゃった」 「車で来たの?」 「車は近くのコインパーキングに停めてきた」 玄関でブーツを脱ぎながら芹沢くんが言った。 「そっか、上がって」 「お邪魔します。もしかして寝るとこだった?」 「うん、何か飲む?」 「いや、いいよ。ゴメンね。寝るの邪魔しちゃったね」 「まだ寝るには早いから大丈夫だよ。それより平日だから明日は仕事じゃないの?」 「うん、ここ最近ゆっくり会えてなかったから」 「ゴメンね。もしかして私が明日休みだから来てくれたの?」 「それも有るけど、なんか無性にイツキさんに会いたくなって」 芹沢くんがジャケットを脱いだので私は受け取ってハンガーにかけた。 芹沢くんは私を抱きしめて私の首筋に顔を埋めた。 「充電…」 私も自然と芹沢くんの背中に両腕を回す。 しばらく二人で抱き合っていた。 芹沢くんはジーンズのポケットから小さな箱を取り出した。 箱を開けて中身を取り出すと私の左手をとった。 「外さないでね。俺とのペアリング」 私の左手の薬指に指輪をはめた。 芹沢くんの左手の薬指にも私と同じデザインの指輪がされていた。 「芹沢くん、指輪は仕事の邪魔にならない?」 「大丈夫。患者さんに治療する時はではゴム手袋してるし、他の先生だって指輪してる人居るし」 「ありがとう。嬉しい」 「こんなものでも無いと俺、心配なんだよ。イツキさんなかなか指輪のサイズ教えてくれなかったから時間かかった」 「ゴメン、私気づけなくて…」 芹沢くんは私の左手の薬指をなぞった。 「本当は一緒に指輪見に行きたかったけど、イツキさん指輪の号数聞いた時にあんま乗り気じゃなかったから…」
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