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定期的に病院通いをしなくてはいけない私はいつものように病院に来ていた。
成長ホルモン分泌不全という難病の病気で、原因は解らないけれど脳下垂体の一部が変形して成長ホルモンが分泌されず、毎晩寝る前にノルディトロピンフレックスプロという製剤を注射しなければならなく、自己注射している。
この病気が解る前は糖尿病境界型って診断を受けて病院に来ていた。
たまたま前の先生が病院を開業することになり担当医が代わり、次の担当になったその先生が電子カルテを診て「もしかしたら…」と言い出して脳の造影検査をしたら脳下垂体の変形が見つかり、検査入院をして血糖の負荷検査をして詳しく調べたら先生が思ってたよりも重い成長ホルモン分泌不全だと解ったのがきっかけだった。
注射をする以外に治療法が見つかっていない病気で完治することはなく、合併症がPCOSという婦人病と糖尿病だということ、製剤が一本10万近くするということだけは解った。
「須藤さんラッキーですよ、なかなかこの病気は簡単には発見される事がないんですよね」
「はぁ、そうなんですか…」
「これからも通院頑張って下さいね」
その診察を受けてから毎月病院に通う事になった。
ある日、病院でチャン・グンソクそっくりの青年が右脚にギブスをして歩き難そうに松葉杖をついていた。
チャン・グンソクが好きな私は、あまりのそっくりさに二度見したくらいだった。
青年には悪いがよちよちと歩くその姿に私は癒されていた。
(カッコいいしチャン・グンソクにそっくりだし目の保養になるな)
なんてほっこりしていたらその青年がよろけて転びそうになった。
思わず手を差しのべて私はその青年を助けてしまった。
「スミマセン、有難うございます」
青年が微笑んで低い声の流暢な日本語でお礼を言ってきた。
(そりゃ外見そっくりでも声は違うはな)
「いえいえ、気を付けてくださいね」
「フットサルで張り切りすぎて脚折っちゃって…ギブスなんて初めてなもんで歩き難くて、よく俺が転びそうになったの気付きましたね」
(あなたをじっと見て目の保養にしてました…なんて言える訳無いよね…)
「有り難うございました。しかし、参ったな…ココ煙草吸えない病院なんですね」
「近くに煙草吸える場所ありますよ?私も診察終わって行けるんで一緒に行きます?」
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