冗談ですよね?

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「ホントに?助かる。失礼じゃなきゃお名前は?俺の名前は芹沢文也(せりざわふみや)って言います」 「私は須藤(すどう)イツキって言います」 「イツキさんね…イツキさんはどこが悪くて病院に?」 「成長ホルモン分泌不全って病気で…」 喫煙スペースのある調剤薬局まで芹沢くんの歩幅に合わせて歩いた。 「難病ですよね?でも身長低くないですよねそんなに…」 「芹沢くん知ってるの?」 「あ、俺、元医大生なんですよ。こう見えても(笑)珍しい病気だって習いましたよゼミで」 「そっか、元医大生なら知っててもおかしくないね」 「たまたまゼミで知っただけですから研究してる人程ではないですけどね、今は歯科医ですけど」 喫煙スペースに着いた芹沢くんは器用に両わきで松葉杖をついたまま煙草を背中に背負っていたボディーバックから出して一本くわえて火を着けた。 チャン・グンソクそっくりの幼いように見えた芹沢くんはしっかり大人の男の人なんだけど煙草が似合わない。 「俺、よく、韓国のなんとかグンソクってヤツに似てるって言われるんですけど…似てます?」 「似てます。私、二度見しちゃったもん(笑)」 「マジで?!」 「喋るまで本人かと思ったよ?」 「親戚のオバチャンに言われるまではよく間違われるなって思ったんだけど、写真撮って下さいってのが余りに多くて…」 「それだけ似てたらね、私も写真撮って欲しいもの(笑)」 「良いですよ、イツキさんなら何枚でも」 「またまた~(笑)」 私も煙草を吸いながら冗談にあいずちをうった。 芹沢くんは自分のスマホを出して私の肩を抱いて写真を撮った。 「LINEやってます?写真送りますよ」 馴れた手付きでLINEのIDを教えてくれた。 「俺、アドレスガラケー時代からボーダフォンのアドレスなんでアドレス教えるの面倒で…」 「偶然だね、私もボーダフォンだよアドレス」 「珍しいですね、偶然」 「アドレス変えたくなくて、人と同じって嫌で…居るんですね、俺以外にも古いアドレス使ってる人」 「対応してないトコとかあるよね。私も困った事ある」 「イツキさんってB型さんですか?」 「なんで解ったの?」 「俺も同じだから。なんとかグンソクってのはA型らしいですよ。オバチャン情報ですけど…」 「チャン・グンソクね。知ってるよ。私もウナギちゃんだから」 「ウナギちゃん?」
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