冗談ですよね?

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バスルームの脱衣場には私の服や下着が畳まれて置かれていた。 記憶を無くした後も普段通りだったのね私は…。 深いため息をついてシャワーを浴びた。 昨日と同じ服を着てリビングに戻るとボクサーパンツ一枚の姿でキッチンでアイスコーヒーを入れる芹沢くんが居た。 「飲むでしょ?」 「あ、ありがとう」 「何かよそよそしくない?」 「そ、そんなことないよ」 「昨日はあんなに甘えて朝方まで…」 「わー、解った、解ったから」 キッチンで立ったまま自分のアイスコーヒーを飲み干して煙草を持ってリビングに戻ってきた芹沢くんは煙草をくわえつつテレビの前のソファーに座り火を着けて紫煙を吐き出した。 「俺、嫌われた?」 悲しそうな顔をして芹沢くんは振り返った。 「そんなことないよ…」 「ホントに?んじゃ、好き?!」 「それは、うーん…」 「昨日は好きって言ってくれたのに…」 言ったのか私?! ギョッとしていたら悲しい顔をして微笑んで言った。 「まぁ、俺が言わせたんだけどね。好きって…」 「だって私達、歳が…」 「そんなの気にしてないよ?」 「でも…」 「それじゃ、イツキさんって好きでもない男と寝たわけ?」 「それは…」 何も言えなくなってうつむいた。 「俺は、酔った勢いでもなきゃ既成事実作れなかったかもだけど…でも、好きになっちゃったんだから本気で…責任取ってよイツキさん」 グンチャンそっくりの顔で言わないで! 反則だから…それは!! 「いや、違うな…責任は俺が取る。昨日、実はゴム無しで…その…」 「その心配なら大丈夫。私PCOSなんだよね、だから妊娠は…」 「知ってるよ、昨日する前に言ってたから。それでも避妊しなかった俺にも責任はあるよね?」 真面目な表情になって言った芹沢くんは真っ直ぐ見つめた。 「子供も出来なくておまけに難病で良いとこ無いじゃん…私なんて」 「俺なんかイツキさんに好かれるの顔だけかもだけど…真剣だから、だから覚悟決めてヤったんだよ俺」 「知り合ってから時間だってそんな経ってないじゃない?」 「時間だって関係無いよ、俺が好きになっちゃったんだから」 無言で見つめあっていたら煙草を灰皿で揉み消して立ち上がった。
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