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情熱的さは家系ですか?
順番が違うけど私達は付き合い初めて3ヶ月が経っていた。
今日は芹沢くんのギブスが取れる日だ。
私も通院日で丁度病院に来ていた。
右脚が軽いサポーターだけになったらしい芹沢くんはご機嫌だった。
パンツはギブスをしていた為に幅広なイージーパンツだったが、少し延びたソフトモヒカンをワックスで流してパーカーに革ジャンを羽織っていた。
こうやって見るとますますグンチャンだな。
「今日から脚が自由だ」
「でもまだフットサルはダメだよ?」
「解ってます。イツキさん今夜は泊まり行って良い?」
「ダメだよ、明日は仕事でしょ?」
「一晩くらい寝なくても平気!!」
「こらこら、一晩って何する気ですか?」
「そりゃ、この3ヶ月分の愛情をたっぷりと…」
「確かめ合いません。まだリハビリとかしなきゃなんでしょ脚?」
「厳しいねイツキさん。俺、今日は帰りたくないな…」
「甘えてもダメだよ、今日じゃなかったっけ弟さん来るの」
「チッ、覚えていたか。イツキさんには会わせたくないんだよね尚(たかし)は…」
何でだろう?
「尚は俺に似てるからってよりも俺よりグンソクだからダメ」
また、意味の解らん理由だな。
「芹沢くんは芹沢くんでしょ?」
「いい加減、文也って呼んでよ。イツキさん」
芹沢くんのスマホが着信音を鳴らしている。
芹沢くんは着信相手をチラッと見ただけで革ジャンのポケットにスマホをしまった。
「出なくて良いの?」
「尚だもん…」
「出て」
「しゃーないなぁ。もしもし?どこって病院だよ。用事は何?」
芹沢くんはエンジニアブーツのかかとを鳴らし、ぶっきらぼうに受け答えしながら二人で病院の会計に向かう。
「は?迎えに来いってか?嫌だね、今彼女と一緒だから邪魔すんな。んなもんタクって来いよ。鍵持ってるだろ?」
めんどくさそうに受け答えしながら、空いている片手でいつものボディーバックから年季の入ったボッデガの焦げ茶の皮の財布を取り出した。
「は?鍵忘れたら入れないだろ?…てかっ切りやがった?!」
芹沢くんは半ギレぎみに電話をかけ直したが相手が電源を切ったらしい。
「クソッ、電源オフとかあり得ねー?」
どうやら弟をお迎え決定らしい。
「行ってあげたら?」
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