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「お! 久しぶりだな。いつも通りだよな?」
目的地の最寄り駅で降りた俺が寄り道した商店。
店主のおじさんはいつも気さくに声を掛けてくれる。
とは言っても、もうだいぶ高齢の人だ。
髪は白く、皺も深い。
「はい。毎年ありがとうございます」
「気にすんな。おシズさんには世話になったからな」
おじさんは、俺の祖母の同郷らしく、幼少から祖母と一緒にお店に来てたこともあって優しくしてくれる。
「もう五年……か? 早いもんだな」
「……そうですね」
祖母が亡くなって五年。
祖母と一緒に来ていた墓参りにも俺一人で来るようになった。
「ほれ、いつもの。
うまそうなの選んどいた、よろしく言っといてくれよ」
俺を見れないまま亡くなったらしい父親の好きだった桃。
それと、五年前から持っていくようになった柿。
おじさんは、祖母と来ていた頃からお代は受け取らなかった。
祖母にどれだけの恩があるのか、いつか聞いてみたいがなかなか切り出せなくておじさんに甘えさせてもらってる。
桃と柿を受け取って、お墓に向かう。
「……マツシマ マコトさんですか?」
到着したお墓。
そこに何故か彼女は居て、開口一番に俺の名前を言い当てた。
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