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「……つぅ…っ……何これ?」
「何って…………壁?」
夜も触れてみて、漸く違和感に気付く。
丁度出口を塞ぐ様に透明の壁が邪魔をして、外へ出られないのだ。
「妙、ですね」
始めからこんなものがあったとは考えられない。
誰かが意図的に仕組んだのか。
(だとしたら……)
夜は地下街へと戻り、辺りを見回す。
「……」
沖田も何となく察したのか、無言で周囲を観察した。
(怪しい人間……はいない、わね。……寧ろ、この格好では私たちの方が)
一度服を手に入れるべきかもしれない、と考えるが、この時代のお金を沖田は勿論、夜も持っていない。
「……一旦、別の出口を探してみますか?」
「そうだね」
また歩きながら、沖田は気になっていたことを夜に尋ねる。
「皆、妙な格好をしてるんだね」
「この時代では普通ですよ。寧ろ私達が目立っているんです」
「ふーん。ところで、あの髪色……夜と似たようなものなの? それとも異人?」
「私とはまた違いますが……れっきとした日本人ですよ。皆、染めているんです」
「え、髪を染める!?……何のために」
「……流行ってるんだと思います」
お洒落云々に関しては、夜も詳しい方ではないので、何とも言えないが。
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