世にも奇妙な白昼夢

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夜自身も現代のものに触れるのは久しぶりだと、少し妙な気分になりながら辺りを散策していたが……。 「……!」 「夜?」 ある場面を目に止めて、一瞬足が止まったところに沖田が呼び掛ける。 「……」 「あ、ちょっと!」 が、夜は突然駆け出し、沖田も急いで後を追った。 夜は一人の男に近付くと、その右腕を掴み、勢いよく捻り上げる。 「い"っ!? いででで!」 堪らず悲鳴を上げた男は、持っていた‘ある物’を落とした。 「何これ?」 沖田がそれを拾うと、慌てて男は逃げ出す。 夜は男は追わず、一連の騒動を呆然と見ていた一人に声を掛けた。 「この財布、貴女の物ですよね?」 「え?……あ、ほんまや! うわっ、気付かんかった………ありがとうございます!」 「財布?」 薄い黄色の長財布は沖田にとっては見慣れないものだったが。 「気を付けなよ」 「すみません」 彼女にとっては大切なものなのだと、素直に返したのだった。
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