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彼のことを考えるだけで、胸が痛くも、ウキウキと暖かくなる。
画面を指でスクロールしながら、彼の名前を探す。
見付けた文字に、トクンと胸が高鳴った。
(き、緊張するな……!)
いざ押そうとすると勇気がいるもので。
ギュッと目を閉じて指で画面に触れると、携帯を耳に当てた。
電話したらウザいと思われるだろうか。
そもそも約束なんてしてないと言われたらどうしようか。
そう思っていると。
『───お掛けになった電話番号は、現在使われておりません』
聞こえてきたのは彼のものとは程遠い、無機質な声。
「…ぇ………?」
耳から携帯を離し、その手は下へと下がる。
呆然と目を見開いたまま、私は近くの壁にもたれ掛かった。
(何で?……何でなん…?)
驚き、悲しみ。それらは溢れるほど出てきたけど、怒りは感じなかった。
何かの間違いかと画面を確認するけど、私が掛けたのは間違いなく彼で。
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