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「ほら、その日はもう学校終わってるやろ? お返し渡したいし」
そう言われて断る理由はない。
罪悪感を感じながらも了承して。
今日、ホワイトデーを迎えたのだ。
もう一度画面を見つめて、溜め息を吐く。
もう、待ち合わせの時刻からは30分近く経つ。
「……っ」
此所は外だということは分かっていたけれど、ズルズルとしゃがみこんでしまった。
泣かないようにするのが精一杯で、俯いて目を閉じる。
(もう、会われへんのかな……)
今日で最後だと思っていたのに。
学校は昨日から春休みに入ってしまったから、会うことは出来ない。
だから、今日伝えるつもりだった。
自分の気持ちを伝えて、終わりにするつもりだった。
(それすらも、出来ひんのかな……!)
嗚咽が漏れそうになったのと。
「おーい」
真上で声がしたのは同時だった。
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