2人が本棚に入れています
本棚に追加
ビクリと肩を揺らしてから、恐る恐る顔を上げると。
「ごめん! 待ち合わせの時間、勘違いしてたわ!」
申し訳なさそうに手を合わせる彼の姿。
「ぅ、……!」
「わ、ごめんな!……不安にしてしもた?」
多分私の顔は泣くのをギリギリで堪えている酷い顔なんだろう。
安堵と、不安が入り雑じって。
声を出すことも難しかった。
「ホンマにごめん」
何度も謝り続ける彼に、首を横に振って答える。
彼が引っ越し前で忙しいことを知っているから。
責めることなんて出来なかった。
「……行こ?」
漸く少し落ち着いてから言うと、彼も頷いて答える。
歩き出すと、然り気無く手を引いてくれて、先程とは違う意味で胸が痛くなった。
お昼ご飯を食べて。
ショッピングをして。
疲れたからカフェに入って。
気が付けば、あっという間に夕方。
ずっと一緒にいたいのに、楽しい時間はすぐに終わってしまう。
最初のコメントを投稿しよう!