片想いの終わりは

9/11
前へ
/26ページ
次へ
駅まで戻ってきて、いよいよ別れの時。 今日、さようならを言えば。 もう2度と会えないかもしれない。 「あ、そういえば…」 私が切り出すと、彼の目が此方を向いた。 「朝、電話してんけど……」 「ああ。俺、解約してん」 サラッと言われた事実に、目を瞬かせる。 「引っ越すし、もうメアドとかは向こうの友達だけに教えようと思ってな。……大阪には戻ってくることないかもしれんし」 「そう、なんや」 彼は大阪に全てを置いていくんだ。 ここで作った思い出も全て。 (告白なんて……重いだけやろか) そっと目を伏せた時、手を差し出される。 「ホワイトデー」 受け取ったのは折り畳まれた紙。 ゆっくりと開くと。 「新しい電話番号とアドレス。教えんのはお前が初めてな」 「……」 驚きが大きすぎて、紙を凝視したまま固まってしまう。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加