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駅まで戻ってきて、いよいよ別れの時。
今日、さようならを言えば。
もう2度と会えないかもしれない。
「あ、そういえば…」
私が切り出すと、彼の目が此方を向いた。
「朝、電話してんけど……」
「ああ。俺、解約してん」
サラッと言われた事実に、目を瞬かせる。
「引っ越すし、もうメアドとかは向こうの友達だけに教えようと思ってな。……大阪には戻ってくることないかもしれんし」
「そう、なんや」
彼は大阪に全てを置いていくんだ。
ここで作った思い出も全て。
(告白なんて……重いだけやろか)
そっと目を伏せた時、手を差し出される。
「ホワイトデー」
受け取ったのは折り畳まれた紙。
ゆっくりと開くと。
「新しい電話番号とアドレス。教えんのはお前が初めてな」
「……」
驚きが大きすぎて、紙を凝視したまま固まってしまう。
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