第3章

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嫌いになって別れた訳ではない。いわゆるケンカ別れというものだった。 些細なケンカでお互い謝るタイミングを逃したというところか。半年前の夏のことだ。覚えている。 その日は最高気温記録更新をした日だった。暑さが苦手な私と彼は電話デートをしていた。 私はクーラーのよくきいた自室でベッドに寝転がりながら彼と電話をしていたのだ。   何の話題でケンカになったのかももう覚えていない。ただ電話口の彼は終始無言でいた。彼は怒ると黙り込んでしまう性格だったのだ。
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