あらすじ

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生命に死をもたらす紫の瘴気から逃れた人類が住まう、緑の四大陸のひとつ、ムリアス大陸の外れにあるスケッルス地方。   田舎にあるスケッルスでも辺境とされるダクダの森の地下空洞で、ローブの少女 アニスは“召喚の儀”を執り行っていた。   彼女の大いなる野望“血を流さない世界征服”の実現のために助力を請うたのは、かつて勇者と共に初代魔王を打倒した伝説の三傑のひとり、“知を統べる大賢者(クルーガー)”。 なんとか作り出した光のゲートから現れる人影。しかし、現れた中性的な面持ちの若者は、アニスの妄想の中の賢者とは大分かけ離れていた。 紫の大地に新しい魔王が君臨し、世界がまた禍々しい戦火に包まれる。 それを予期し、誰も傷つかない世界を作ろうと立ち上がるアニス。それはアニスが紫の瘴気を世界に産み落とした邪神、その召還に手を貸した人間と魔族との間に生まれた魔人の末裔であるからだった。   事情を知らなかった若者は、無神経にもアニスを傷つけ、「自分は君の望む賢者じゃないし、強い力もないから」という言葉に、アニスは家を飛び出してしまう。アニスの戻ってきた夕暮れの家には、若者の姿はなかった。   同日の深夜。ムリアス大陸の学都 ラビに侵入者が単身で乗り込んだ。ラビを根城とする土の魔皇と対峙するのは、件の若者。ただの人間であると主張する彼(彼女)は、しかし魔皇を圧倒し追い詰めるが、寸でのところで二代目魔王とその側近が姿を現す。   半年間の不可侵協定を結んだ若者は、アニスのもとに帰り、彼女と亡くなった彼女の両親との対話を実現させた。   アニスは秘めていた長年の思いを昇華させ、若者は改めてアニスの願いを叶えることへの助力を約束する。   数ヶ月後、魔皇と人間側との戦いを血を流さずに収めたふたり組の噂とその後の動向が、四大陸最大の都市ティナヌグ王国に流れたのだった。 
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