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あの日のことは忘れることもありません。
先輩という幽霊は、本当に酷い幽霊でした。
私と共に、ずっと一生死んでいようと、まだ寂しかった桜の木の下で約束していたにも関わらず、彼はその約束を桜の花びらなんかに惑わされて、あっさり輪廻に戻っていったのです。現世に残された私のことも考えずに、とても悔しい思い出だけを私に植え付けて、今頃はどこかで新たな生命として誕生しているのでしょう。想像するだけで、顔が少しだけむっと歪んでいきます。
悔しいったら、ありません。
「……嘘つきは、地獄にでも堕ちれば良いのです」
使われなくなった教室。
その中で一人、机に顔を埋めます。
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