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美術室に行く前から赤い頬をどうにか冷まそうと手で扇いでいると、前から見慣れた人が現れた。
更に昇る血にわたしの頭はショートしそうだった。
「こ、こんにちは。」
自分の声は上ずっていないか、そんなことばかりが気になった。
「ん。」
と言って、頭にポンッと手を置かれた。
少しゴツゴツした手の感触がまた、トクンっと胸を高鳴らせる。
去っていく後ろ姿を見つめて、胸の奥がキューッと縮んだ。
「胸、イタイ。」
手でギュッと胸のシャツを掴んだ。
絶対に振り向かないその背中に少しもどかしさを感じる。
先生の背中が少し小さくなった。
いつまでたっても踏ん切りがつかないので
ぐいっと体を捻って歩こうとした矢先、なにかに鼻をブツけた。
「高梨っ!大丈夫か?!」
あイタタタ。
とりあえずぶつかった相手に謝ろうと上を見上げると、
「あー!ヌー、、古手川さん!」
慌てふためく古手川さんが目の前にいた。私の赤い顔の原因その1。
聞きたいことが、頭で考えるより先に口から飛び出そうだったので慌てて自分で自分の口を押さえる。
その姿が奇妙に見えたらしく、ギョッとした目を向けたと思いきや、笑い始めた。
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