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「高梨。」 その人の声を聞いただけで心がトクンと震えた。 鳴り止まない心臓の音を聞こえないフリして振り向いた。 いた。 ちょっと掠れたようなそれでいて甘い声を出す。 その声を、その姿を、見ているだけで体が痺れたように動かなくなる。 「ふーん。」 少し目を細めるように微笑むとそのまま鋭い瞳を私の絵に向けた。 情熱的でそれでいて燃えるような瞳。 その目が私に向けばいいのに。 と頭の中で想像してその生々しさに慌てて頭の中の考えを打ち消した。 先ほどまでの燃えるような瞳をふっと緩めて、私の方を向いて微笑んだ。 「高梨。やーらしっ。」 頬がカッと赤くなり、急いで顔を伏せて、ドギマギしているのを隠した。 それがかえって先生のどツボにハマったらしく、押し殺したような笑い声が聞こえてきた。 そーっと顔を上げると、無邪気に笑う先生の姿がみえて、小さな小石が転がるようにコロンと好きがまた積もった。 私は先生に恋をしている。
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