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観覧車
フラワーパークにはバカでかい観覧車がある。こんな田舎に必要なのかな?って、違和感を感じる。しかも高い。一周800円もする。
「貴子、観覧車乗ろっか。そろそろ夕日も綺麗だし。」
「うん!まーくん、乗ろ!」
と、2人は手をつないで、観覧車に行ってしまった。
「千代さん乗らない?」
仁菜さんが誘った。珍しい、乗りたいのかな?不思議なもので、たかねーが乗りたいと言うと、ミーハーに思え、仁菜さんが言うと女の子っぽくて可愛いと思う。
「わたし、パース」
と千代さん。
「わたしは高所恐怖症なんで…」
とおとーさん。
「あたしもきょーみない。」
と和希ちゃん。
仁菜さんが僕を見る。全員が僕を見る。
「あ、じゃあ、乗ります?」
観覧車に乗りたいと言うより、仁菜さんと2人でしゃべりたいと思った。
観覧車乗り場では、先に行ったたかねーとまーくんが乗り込んだところ。
僕たちは一台ずらして、黄色のに乗り込んだ。
仁菜さんと向かい合わせで座る。
ドキドキドキ。
これは病気の動悸か、それとも恋の病か。
「仁菜さん、今年のサマーソニック、シガー・ロスくるんですよ。」
「うそ、ほんと?」
「ほんと。僕めっちゃ見たいけど、炎天下のフェス自信ないなあ…」
「わたしも…でもきっと夕方じゃないかな?だったら夕方だけ行くのもありだね。」
「あー、そっか。それいいなあ。」
すごく自然に会話できる。仁菜さんとは。引っかからない。気持ちいい。安心。こんな人、男でも女でもいなかった。
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