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「私達一族が、こんな山の中へと追いやられたのも、私達の信仰が原因なのです。」 彼女が悲しそうな顔でうつむいた。 「私達、シャン一族が信仰しているのは、邪神信仰なのです。」 「邪神・・・ですか?」 「そう、邪神です。人にとっては、邪神ですが、私達の信仰は宇宙にあるのです。 外なる大いなる神を信仰し、畏れ、あがめています。大いなる宇宙の神により、 私達は死んだら、時空を超えた世界へと旅立つことが出来ると信じているのです。」 私は、思わず黙り込んでしまった。この娘はヤバイのかもしれない。 「頭がおかしい、って思いますよね。」 彼女が全てを見透かしたような悲しみに満ちた瞳で私を見つめる。 「当然、先生だけじゃなく、周りの人も同じ気持ちだったと思います。 人は、自分の思いも寄らない思想を示されれば、誰だって気持ち悪いって思いますよね。」 「そ、そんなことは・・・。」 私は情けないことに二の句が継げなかった。 「本当はね、私、嘘をついています。」 「嘘?」 「先生に私、隕石のことで取材に来て欲しいと言いましたが、あれ、嘘なんです。」 「と、言うと?」 「実は、本当に先生に書いて欲しいことは、私達の一族のことです。 私達の一族は、もうすぐ滅亡します。」 あまりの唐突な言葉に、私はますますわけがわからなくなった。 彼女はさらに続けた。 「太陽が第五宮にあって土星が三分一対座にあるとき、炎の五芒星型を描き第九詩篇を三度唱えよ。天球層の外に生まれいずるものあり、との神からの啓示があったのです。」 「それはどういうこと?」 「世愚外素の召喚、つまり生誕です。私達、シャン一族だけがその呪文を正確に唱えることができるのです。 ただし、それには自分達の体が破壊される危険が伴います。私達の体は恐らく滅びるでしょう。 しかし、それが私達、シャンの運命なのです。私達シャンは、確実に次なる次元への輪廻転生が約束されていると信じています。私達が、犠牲になることで、この世界の均衡は保てるのです。」
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