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「また、院長室は『来客中』ですか?」
そう言いながら近づくと、彼女はおどけて肩を竦める。
「仕方ないでしょう。病院に多額の寄付を寄せてくれているお得意サマだもの」
苦々しげに笑った彼女は悲しげに見えた。
それもそうだろう。
自分が勤めている病院の院長は、病院が経営難に陥った際、多額の寄付と引き換えに今来ている政治家との愛人関係を成立させたと聞く。
秘書である彼女は、その政治家が来たときだけ、こうやって屋上で煙草の煙を燻らせていた。
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