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初めて会った時の彼は、酷く無愛想で空虚な目をしていた。
院長の姪の推薦でやってきたという彼に何があったのかは知らないが、彼女からは「いろいろあって、あいつは私のことを嫌ってるけど、そこら辺はスルーしておいてね」と言付かっている。
・・・
何があったのかは知らないが、このままではクレームが出るのは必至。
なので、早々に釘を刺しておいた。
まぁ、院長と院長を愛人にしている政治家の情事に出くわしたのは計算外ではあったが、ちょうどいい機会だったので、重ねて忠告。
結果、何やら開き直った彼は、上っ面だけはいい、胡散臭い男へと変化を遂げた。周囲は彼のふわふわした笑顔に騙されているようだが、結構言葉の中身は失礼だ。
私はといえば、そんな彼に何故かなつかれてしまったようで、頻繁に笑顔を向けられる。
困ってしまうのは、私が長年人に壁を作って生きてきたせいだろうか・・・
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