上山優子1

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「ち、ちょっと待とうよ。まだ心の準備がーー」 「0時過ぎちゃうよ!っと」 「ひゃぁぁ!」 私は力尽くで三面鏡をバンッと開いた。三つの鏡がお互いを映し合い、私達が何人も映る。ずらりと並ぶ。 私と朋美。前も右も左も。その奥もずっと、私と朋美の二人だけ。 「朋美。今何時?」 「11時58分……」 朋美がタブレットを取り出して時刻を確認する。 ギリギリじゃないか。間に合って良かったー。 鏡に映る朋美を見ると、それはそれは青ーい顔。ビクビクしてるのが鏡越しでも分かる。写メ撮ったりしたら怒られるんだろうな。 パシャッて音だけで泣き出しそう。それはそれで面白いけど。
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