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「ご、ごめんね。ちょっと友達とーー」
『優子。帰ってきてから話は聞くわ。
早く帰っておいで』
「……はい」
うわー。お母さん、怒ってます。声で分かります。テンションで分かります。
そうとうご立腹でございます。帰ったら説教部屋でございます。
「す、すぐに帰ります」
『よろしい。待たせていただきます』
「……すみません」
私は終了ボタンをタップして電話を切った。
はぁ。帰ったらお説教です。せっかく盛り上がってたのになぁ。
「ごめん、朋美。私帰らないと……」
私は振り返って、三面鏡を見た。と言うより、朋美と三面鏡が視界に入る予定だった。朋美を見たつもりだった。でも、三面鏡を見た。
三面鏡が見えた。
いや違う。三面鏡だけを見た。三面鏡だけが見えた。三面鏡しか目に入らなかった。
三面鏡しか、なかった。
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