上山優子1

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「ビックリしたー」 私はホッと胸を撫で下ろした。ハァッと息を吐いた。 中途半端に開いている三面鏡をきっちりと閉めようとする。三面鏡の両開きの鏡に手をかける。 けどその手は、途中で止まった。僅かに開いた三面鏡の扉を持って、止まった。 私はゆっくりと、中途半端に閉まる三面鏡の鏡を開ける。 閉めるのではなく、開ける。中を見ようとする。三面鏡に映る鏡の奥を覗こうとする。 好奇心。怖いもの見たさ。 いなくなった朋美。 もしかして、鏡の中に……? そんな馬鹿げた好奇心に負けて、私は三面鏡を開いた。 もしかすると、朋美が映ってたりして。そんなくだらない事を考えながら。 キィィっと、木材の軋む音がする。思った以上にうるさい。 ゆっくりと、私はそれを両開きにする。 「朋美……?」 その鏡に映っていたのは朋美……ではなかった。 私だった。当たり前みたいに、私が映っていた。私がずらりと沢山映る。鏡が鏡を映し、それが数え切れないほど多くの私を映し出す。 心臓が大きく鼓動を打つ。手汗が出てくる。
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