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「優子。脅かさないでね……?」
「そんな事しないわよ」
私の腕を掴む友人の握力がギュッとあがる。たかが夜の学校で怖がりすぎだ。
彼女は岩波朋美。
いわなみ、ともみと読む。私にその怪談をした本人だ。怖がらせるつもりで話した怪談で、自分が怖がっているのだから世話ない。
視聴覚室の三面鏡。その鏡を0時に覗き込むと鏡の世界に引きずり込まれる。彼女の怪談はそういう話だった。
鏡の中に入って、そこの住人に襲われるらしい。兄妹で入るのだが、結局妹の方は死んでしまう。
まぁありきたりな話よね。内容はよく覚えていない。聞き流していた。
今は11時45分。あと15分でその怪談の何たらが証明できる。
私の記憶では死に顔が見えるとか、そんな怪談だったと思うのだけど。
これも地域によって違うから何とも言えない。
まぁどの道、親が子供にしつけをするために考えた作り話が発端だ。
夜更かししないように怖がらせて眠らせたってだけの話。三面鏡を割らないようにした親の企みってだけ。
本当に死に顔が見えたり、鏡の中に行けたらノーベル賞でも何でも取れるっての。
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