上山優子1

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「開けるわよ」 「そっと……。そぉっとお願い」 怖がりだなぁ。どうせ何も出ないって。幽霊見たり枯れ尾花ってやつよ。 私は視聴覚室の扉に手を掛け、グッと力を入れた。 扉はドアノブを捻ってから引くタイプの物で、開けるときにギギギィっと古びた音がする。 わざわざその音に飛び上がる朋美。はいはい。リアクションご苦労様。 ヒューっと、扉を開けた途端に私の肩に風が吹き抜けた。私の髪がその風によってなびく。 「え?」 部屋から、風? 扉を開けて中に入ると、視聴覚室の窓が開いていた。一つだけ、開いていた。閉め忘れだろうか? そこから風が漏れて、私達が扉を開ける事によって空気が流れたんだ。 まぁここは3階だから浸入するなんて事はないだろうけど。それでも無用心ね。警備員さんは何をしてるんだか。
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