上山優子1

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「ひゃぁぁ!」 悲鳴を上げて朋美が私の腕にしがみつく。吹き抜ける風に物凄く怯える。 あんたねぇ。怖がる基準が低すぎない?小学生じゃないんだから。 私は開いている視聴覚室の窓まで駆け寄り、それを閉めて鍵をかけた。 警備員さん。あんたの代わりに仕事しといたからね。 中は普通の教室とは違い、階段式に椅子と机が並んでいる。 映画館のような造り。ここで何たらの教育に基づく映画や動画を見たりする。 文化祭や体育祭の映像もここで見たっけ。スクリーンがあって、映写機も備えてあるから、そういうのに向いている教室だ。 「っで、これが噂の三面鏡」 そんな視聴覚室の隅。スクリーンの端のさらに端にそれはある。 埃を被った三面鏡。鏡の世界に繋がるという、その三面鏡。
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