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「普通の三面鏡よね?」
「……うん」
見た所普通の三面鏡。アンティークって言うのかな。木材で出来ている、古びた造り。それが本当に古いのか、古く見せているのかは分からない。
美術の評価2なのよ。私。体育は5なんだけどね。
でもそれ以外は何て事のない見かけだ。鏡の縁とかが花びらのように彫られているから高価ではあるんだろうけど。
私はその閉じてある三面鏡に手をかける。開こうとする。しかしその手の上から、別の手が被さった。
朋美の手が私の手の上に被さった。まるで開こうとする私を止めるみたいに。
「え?え?開けるの?」
「え?当たり前でしょ?」
何のためにここまで来たんだ。
先生の目を盗んで視聴覚室の鍵を開けておき、校門をわざわざよじ登り、懐中電灯一つで暗い学校をうろうろした。
全てはこの三面鏡を0時に覗き込むためなのに。何を今更躊躇う。
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