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三人は天体望遠鏡で天体観測を楽しんだ。
途中、ランディが望遠鏡を倒しかけて、ゼフェルと喧嘩になったりもしたが。
一番夢中になったのはマルセル。楽しそうに望遠鏡を除きこんでいた。
そうしているうちに、夜も更け、日付が変わる頃になると、三人は草の上に仰向けになり空を眺めていた。明日は土の曜日で、執務もない。
「あれがねアルクトゥリスで、あれがスピカ。前にねルヴァ様に教えてもらったんだよ」
楽しそうに話すマルセルに二人は。
「…分かるか?ランディ」
「ごめん。サッパリ」
「もう。二人とも」
「だってよぉ、ここに来る前なんて、星なんて見なかったしよ。…ここに来ても、見るのは星より朝日の方が断然多いからな」
「「夜更かししすぎ」」
「おめぇらハモるなよ…。大体、聖地の星空なんて何時も一緒だろ?常春なんだからよ。空も毎日同じ青空だし…変化なんてねぇだろ」
季節のない。女王陛下の力で支えられている聖地。
変化の無い日常に、昔の自分は…まぁ、色々してたなぁと、ゼフェルは思う。
今も…やってはいるが。
昔よりはおとなしくなったと、自分では思う。
「ゼフェル…それは違うかも…確に、見ただけじゃ分からないかもしれない。でも星にも寿命はあるから、僕たちがこうやって、話して、瞬きした瞬間に役目を終えて、死んだ星も在るかもしれない…」
マルセルはどうして、こんなことを自分が言うのか分からなかった。
ただ、自分がここにいる間に、無くなったりした物や亡くなったりした人がいるかもしれないのだ。
「…サクリア持ってても駄目な時は全く駄目だもんね」
前によくゼフェルが言っていた。サクリアなんて持っていても意味がない。
「マルセル」
「ごめんね!なんだか暗くなっちゃったっ。…なんでこんな話しちゃっんだろねっ」
苦笑しながら言うマルセルに、ランディは穏やかに話しかけた。
「マルセル。死ぬ星が在れば、生まれてくる星もあるよ」
死ぬばっかりじゃないんだ。生まれて、生きて。
そうして、宇宙はめぐってく。
「俺たちはその手助けをするってことなんじゃないかな。って最近俺は思うよ」
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