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日の曜日。
場所は聖獣の聖地の宮殿の庭にある一番見晴らしのいい木の、枝。
その枝に仁王立ちで立ち、遠くを見ている人物がいた。
聖地に嵐を呼ぶ男・聖獣の宇宙の風の守護聖ユーイ。彼は珍しく(失礼)も真剣な顔をして遠くに見える海を見ていた。
「風もいい感じだ。この分だと波も穏やかなハズだから、やっぱり今日じゃなきゃダメだな。うん、ダメだ」
うん。と一人で納得してから、枝を飛び下りようとして、
「あっ」
止めた。
そのまま枝に座って足を振りつかせながら、
「オレ道知らなかった」
そう。まだ聖地に来てから日が浅いユーイは海までの道を知らなかったのだ。
行きたい行きたいと思ってはいたが、不安定な聖獣の宇宙。
休み返上で執務に取り組んでいたユーイは、まだ聖地の外に出たことがなかった。
今日の宇宙は安定していて、漸く守護聖全員に休暇がやって来たわけである。
考え込みながら、そのまま後ろに倒れて、両膝の裏を使って、逆で枝にぶら下がる。
他の守護聖が見れば卒倒するような、アクロバティックな格好で、目を瞑ってしばらく考え込んでいたユーイ。
そんな、彼の出した結論は。
「走ってればその内着くな」
「どこにだよ?」
「うわっ!」
近くで聞こえた声に、驚いて枝から足を離してしまった。
まっ逆さまに落ちるかと思いきや、そこはやっぱり天然野生少年。空中でクルッと一回転して、無事に着地。
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