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「ユーイ、大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だ。でも、びっくりしたぞ。ゼフェル様」
見上げた先には、自前のエアバイクに跨って中に浮いたままの、神鳥の聖地きっての問題児、鋼の守護聖ゼフェルがいた。
「わりーな。たまたま走ってたら木にぶら下がってるおめーが見えたから…ってか、何やってたんだよ?」普通、ぶら下がるか?
ゼフェルはエアバイクをユーイの目の前で停めながら、尋ねた。
「海を見てた。この木が一番見えるからな」
「海ぃ?何だよ海なんてあったか」
「ああ。ここから遠いけど、走ってなら今日の夕方には着く距離のハズだ」
「はぁ!?走って行くだぁ!第一、道知ってんの?」
「いいや。知らないぞ」
あっさりと言うユーイにゼフェルは頭を抱えた。
「おめーさ…知らないのに行くつもりだったのかよ?」
「うん。なんとかなると思うからな」
何食わぬ顔をして言い放ち屈伸を始めるユーイ。
走っていくつもり満々だ。
風の守護聖ってはのは…どうしてこうなんだ…。
同じ風の守護聖のランディを思い出しながら溜め息を付いた。
「よっし!行くゾ。じゃあ、ゼフェル様!サラバだ」
「ちょ…おいコラ!待ちやがれ」
走り出そうとしていた、ユーイを溜め息混じりに呼び止めた。
「ん?なんだ?」
ゼフェルはエアバイクの後部座席を指差し、たった一言ユーイに告げた。
「…乗れ」
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