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宮殿の庭での会話から、しばらくして、二人を乗せたエアバイクは、聖獣の聖地の空を飛んでいた。
空は快晴。風も穏やかに吹いている。
絶好のエアバイク日和。
「ゼフェル様っ。空を飛ぶってこんな感じ何だなっ!オレ初めてだゾ!」
「だあっ!わーった!わーったから!立ち上がるなっ!ゆらすんじゃねぇ!落ちても俺は、絶っ対、助けてやんねぇからなっ!!」
そう。絶好のエアバイク日和なのだ。
――――1人なら。
初めてエアバイクに乗ったのか、はしゃぎっぱなしのユーイ。
今なんて両手を離して立ち上がっている。
普通の人間ならその高度に怖じけづいて、手を離すことなんて絶対やらない筈だが。しかも、立ち上がるなんて。
「風が気持ちいいぞ。ゼフェル様もやるか?」
「誰がやるかっ。俺がやったらおめーも落ちるからなっ。俺は巻き添えをくうのはゴメンだね。…とにかく座れっ。スピード上げっから」
その言葉に素直に従うユーイ。
その様子を見ながらゼフェルは小さく溜め息を付いた。
まったく、どうして、声をかけてしまったのか…。
今日は朝からツイてないと思う。
下界に行ったことがジュリアスにばれ、日の曜日だと言うのに呼び出しをくらった。
やってられるかと、エアバイク持参で聖獣の宇宙に逃げて来たのだ。そうしたら、木にぶら下がっているユーイを見つけて、声をかけてしまった。
「まったくよ…ツイてないぜ」
「何だ?どうかしたか?ゼフェル様?」
「なんでもねぇっ!」
2人の目の前に段々と海は近付いて来ていた。
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