何時かまたこの場所で

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マルセルの私邸を後にしたゼフェルは直ぐにエアバイクごと聖地を抜け出した。そして、そのまま船に乗り込み向かったのは、故郷の工業惑星帯。 エア・ポートに着いたあと、直ぐに街に向かう。 時間は昼過ぎ。 久しぶりに来た故郷だか、それを懐かしいと思う暇もなく、ゼフェルが向かった場所は街から少し離れた、丘。そこは惑星の集団墓地に当たる場所だ。。 緑の少ないこの惑星の中では、ゼフェルが子供の頃からここだけはいつも緑があった。 それは、記憶の中にうっすらと残っている。 蔦の絡まったアーチの脇にエアバイクを停めると、貰った花と私邸から持ってきた酒の瓶を手に持ち、目の前の石の階段をただ、黙々と歩いていく。 暫くすると、階段の終りが見え、登りきり周りを見渡せば、沢山の石の墓標が立ち並んでいた。 その中から目的の人物達の名前を探す。何処に埋葬されてるかは、知らない。ゼフェルは近くから、一つの一つの墓の名前を確認していく。その中には、知り合いの名前もあった。それを見付ける度に立ち止まり、目を細める。 そうしているうちに、目的の墓は見付かり、その前に膝を着いて、石についた汚れを軽く払う。 刻まれた名前を指で撫でるゼフェルの顔には、聖地の誰も見たことの無い微笑み。 「久しぶり…。親父、お袋」
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