ふたりのじかん

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「拓ー、ハラ減らん?」 「ん。それじゃ何か作るか」 ベッドにふたりで寝転びながらオンラインゲームをしていたのを中断して拓が起き上がる。 「何食いたい?」 「外出ンの?」 「家にあるので間に合うなら作るけど?」 「外出たくないからな~。テキトーに卵かけごはんとかでいいー」 「それだけ、ってのもなァ」 「いつもひとりのトキはそーしてるんだろ? ワザワザ作ったりしなくていいよ」 まだ対戦中だったスマホを二台操作しながら言うと、 「ひとりでならそれでいいけど、お前もいるしなー。 ちゃっちゃっと丼物でもいいか?」 「うんー。あっ!あー…ぁ、負けたぁ!」 ゲームに負けてしまいガックリ肩を落す。 チクショウけっこー好戦してたのに! 「コンテニュー俺の魔石つかえよ。まだ残ってるし」 「いいの?課金もったいなくね?」 「課金とかしねーわ。 ログボーで溜まってるやつだよ」 「あぁ、そゆこと」 「じゃ、メシ作って来るからゲーム勝てよー」 「あーい。」 コンテニューのロードの間、ベッドから見える台所に立つ背中を盗み見る。 (なに作るンだろ?) 意外と料理上手な拓也の手料理に ちょっとワクワクしてる自分。 *ログボー* ソーシャルゲームのログインボーナスの意。
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