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で。
出てきたのは目玉焼きの乗った丼とワカメスープ。
「あ、美味しい!」
「だろー?みたか自炊男子の底力っ」
「自分でいうなっつーの。
でも
ホント美味い。
どーやって作ってんの?」
拓也が台所に居たのは10分そこら。
俺がゲームを終えるよりも早くテーブルにごはんを並べた。
「別に、簡単だぞ。
丼はメシに高菜とシソ昆布のっけてサッと湯通した挽肉に生卵の黄身置いただけ。」
「へ~。スープは?」
「スープも。
挽肉茹でる時にコンソメ先に入れておいて、引き上げたらワカメと余った白身入れて出来あがり。簡単だろ」
「いやいや、すごいっす。
さっすが~!」
「これくらい、誰でもできる。
つぎはお前が作ってみるか?」
「…えー、無理無理。俺、自慢じゃないけど米炊いたこともないもん」
「マジかよ。よくそれで生きてこれたな?」
「実家住みだからなぁ。
それでなくともババアが料理好きだし」
「あー、オバサン料理上手だもんな。羨ましい」
「ま、確かにな。
たまにワケワカラン創作料理さえなかったら平和な食卓だよ…」
例えば。
「アクアパッツァよ!」といって和風ダシの利いた鯖のトマト煮が出てきたり、
こっちは風邪を引いて寝込んでいるのに「リゾット食べなさい」といって半生の米とチーズと生クリームたっぷりな洋風お粥を出してきたり。
「…不味くはないんだけど、さすがに風邪のときは普通のお粥か素うどんにしてくれよ、ってカンジ」
「あー、おばさんっぽいなァ」
そうなんだけど、ね。
でも息子としては困ってるんだよ。
笑ってられる拓也は、その後から風邪と消化不良で二倍苦しんだ俺のことはわかるまい。
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