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「もしも渉が作ったんならって置いておいたんだが、そうじゃないなら気味が悪い。」
そういって鍋の中身をすべて袋の中に捨ててしまった。
「え、捨てるのもったいなくないか?」
「じゃぁお前が食うか?」
「そんなゴミ袋に入ってから聞くなよ…」
「ならいいだろ。」
大量のカレーはゴミ箱に放られ、鍋を洗う拓也の後で俺は部屋を見回した。
「なー、別に部屋ン中は変ったとこなくない?
掃除されてたとか、なんで判んの?」
「洗濯物が畳まれてあったり、棚が整理されてたりするんだよ。」
「へぇ?…なんか、気味が悪いけど、良心的な?親切な嫌がらせだな~?」
(メイドの幽霊でも出た、とか?)
「なにが親切か。いい迷惑だ。」
しかめっ面の拓也は
「おかげで家の中のモノなんか食う気になれんで、ここんとこずーっとコンビニメシだ。」
「そこまでのことかぁ?」
「お前な。誰が何触ったかもワカランようなもん口に入れられるか?」
「あ~…それは嫌かなぁ」
一人暮らしだからこそ、神経質になっちゃうワケね。
だからって冷蔵庫の中身はまだわかるけど、ストックのレトルトまでゴミにすることはないとおもう。
しかも実家から送られてきたお米まで。
「おい、全部棄てちゃうのか?もったいないだろ。」
「また買えばいい。」
「また、って。ネットで注文してそれが届くまでどーすんの?」
「…コンビニ行くからいい。」
「拓さ、自分がどんだけ出不精なのか自覚ないのか?」
その移動時間さえ削ってまで仕事してるのに、無理だろ。
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