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◇◇◇◇
チャイムを鳴らしたドアから出てきたのは
相変わらず寝起きっぽい格好した無精髭の眼鏡男。
「寝てた?」
「失礼な、仕事してましたよー俺はー」
散らばるスニーカーを素足で踏みつけて部屋に戻る森下拓也はダルそうに背伸びをしてから、ベッドに腰を降ろして煙草に火をつけた。
「言ってたヤツ持ってきてやったのになんだよその歓迎しなさっぷりはよー?」
古いインディーズバンドのCDを渡した。
「ん、あーアレかぁ。サンキュー!」
「軽っ」
「ってか、今月中ならいつでもいいっていわなかったけ?」
「知ってる。でも俺ももー仕事で疲れてたからさー」
「はぁ?…あぁ、つまりいつもの「お断り口実」で女の子のアピールかわしかよ。
あいかわらずおモテになりますなぁ~」
「まぁなw」
「ケッ!リア充め!」
「そう怒ンなよ。お前だって彼女いるじゃん」
「マァとは仕事が忙しくてあってねーもん。」
「どれくらいよ?」
「ん~…?10日前にウチに来たっけかな?多分」
「アバウトだなー。
そんなに放っておいたら怒られるぞ」
「だって忙しかったんだもん。
しょーがないでしょ~ぉ」
「オネエ言葉キモイ。」
「酷いわァ!
…なんつって。でも、マジで忙しいからさ、来られても困るンだよな。
家が仕事場だから余計に」
在宅プログラマーの拓也はそれだけでなく趣味でやってる映像クリエーターやら
最近ではちょこちょこコラムも書くライターまでやってるから本気で忙殺されてるのはよく知ってる。
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