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カギを回したドアにチェーンはかかっていなかった。
「たーくー?」
暗い玄関とキッチン。
いつも昼夜関係なく点けっぱなしな明かりが消えていることに
あれ?っておもっていると、シャワーの音が右奥の風呂場から聞こえる。
「風呂、ですか…」
ニヤッ。
妙に顔が緩む、のは…なんででしょうか。笑。
そんなの言うまでもないけど。
俺の持ち込んだ着替えが新品の柔らかい綿シャツだったりっていう時点で、考えてることは同じだとおもう。
勝手知ったる部屋のベッドにも口角が緩んだ。
「ぅわ…アイツこーいうことはちゃんとするんだ?」
万年床のベッドのシーツは洗いたてに換えられていて布団も枕もいつも以上にフカフカだった。
今日は天気がよかったから、イソイソ干した姿を想像してニヤケる。
「お、渉か。」
「お、お~。勝手にお邪魔しました」
風呂上りに濡れた拓也に向けた顔がどんなんなのか、もうわからない。
「俺もシャワー借りるなっ」
照れ隠しに素早く狭い通路の横合いを抜けようとした。
「おい。」
腕を掴まれ軽く傾いた俺にキスが落ちてくる。
軽く触れる程度。
でも、
これから先のコトを予期させるには十分なほど、その一瞬は熱く感じた。
、
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