ふたりのじかん

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(おいおい、せっかちだな!) そうおもうのに、 咽の奥がジンッと染みて目が潤む。 (…期待、してるなぁ) ―でも、隠して。 「シャワーちゃっちゃっと済ますし、…準備しとけば?」 なんて、ツンツンしてしまう。 ものすごく天邪鬼。 …でも。 短いシャワーから出て、わざと着込んだ服とは真逆に丸裸な心境。 胡坐かいて紫煙をふかす拓の手元から煙草をかっさらい自分でも吸い付けて火種を灰皿に圧しつけたのが、合図。 白い煙をはいてしまえば、唇の引き寄せあうままに重なり、苦味の残る舌が絡んだ。 、
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