ふたりのじかん

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まさかの鉢合わせ。タイミングが悪すぎる。 「・・・・マア?」 「拓…」 一気にトーンの落ちた声にビリビリっと電流が帯られ耳触りが悪くなる。 ベッドから降りた拓也は立ち上がり、部屋とキッチンの境に立った。 「お前、どうやって入った」 「どうって、合鍵で…」 「こないだ返してもらったヤツ、勝手に複製してったってことか。」 「そんな言い方しないでよ。予備にスペア作ってただけじゃない。 …それに、荷物もあったし…」 「俺のものなら棄てていいっていったろ?」 「だって棄てるなんて、できないよ…」 紙袋に入った荷物を見せた真希。 長く深くため息を吐く音がこっちまで聞こえる。 「…あっそ。ありがとう。じゃあ、その鍵も返してくれ。」 「あ、あのさ!…ちょっと、はなしがあるんだけど」 「俺は無い。」 「お願い、少しでいいの、だから…あの、」 真希の声は必死に訴えていた。
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