ふたりのじかん

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撫でる頭にキスして称える。 「でもさ、言いたいことは云えたろ? なら、もういいじゃん。怒るだけコッチが損するんだぜ。」 負の感情に囚われるだけ自分が疲れるだけなんだから。 物を目の前で棄てるなんてヤリ過ぎなパフォーマンスまでしたんだ、多少はすっきりしてるだろう。 ならもう頭を抱える必用もない。 (ふたりの時間がどういうのだったかは分からないケド、捨てて、気持ちを消したってことなのかな?) ベッドに入れと、腕を軽く引張って促がす。 黙って布団に収まった拓が俺を抱えようとするのに抵抗して、逆に俺の腕を枕がわりに首に滑り込ませ抱っこしてやった。 「これで終れてよかったじゃん。…ま、まだ未練があるなら可哀相だけど」 「未練なんかねーよ。…後味が悪いだけだ。」 「あっそ。」 いつまでもギューッと抱いていた。 、
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