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けれど二件目、三件目も大差なかった。
まさかの空振り三振。
「なんっかさ~全然イメージと違うとこばっかだったァ」
少しでも「ワザワザ休日を潰したからには、」の達成感欲しさに、また拓の家に押しかけて愚痴る。
「そんな一発で希望通りになんかいかねーよ。」
拓也は慰めて、俺の分の夕メシもテーブルに置く。
「んー、でもそんな日にちもないし早く決めたいのにー…あ、イタダキマス。」
「はいどーぞ。」
今日はチャーハンだ。
音のない部屋に食器とスプーンがカチカチ鳴る。
「こういう部屋がイイんだけどなー。
拓の仕事部屋は無くていいから、これくらいの広さあったら十分イケるとおもうんだよ」
スプーンでチャーハンをすくい食べながら、部屋を見回す。
同じ6畳でも本棚やラックがあるのに狭く感じない。
ベッドを置いて、テーブルは折りたたみだから使わないときはベッド下に収まってて。
それに窓も、ベランダに続いているとはいえ一箇所しかないのに。
「そりゃ、ウチは天井が高いからな。あと窓もでかいし」
「それくらいでこんなに変るもんか?」
「俺が天井低くて圧迫感あるの嫌だったしな。
それに高けりゃ、それだけスペースも増えるだろ。上にのせていけばいいんだし」
「あぁ~」
「ま、でもウチの家賃は8万超えだしお前の予算じゃ無理だろうけどな。
でも1LDKなら似たようなのあるんじゃないか?」
「8万か~…駐車場あるなら考えるかも」
「敷金礼金キツくないか?」
「それは、15万までは店が貸してくれるって。
…あとから給料天引きはされるケド。」
「マジか。お前のとこ待遇いいなっ」
「…そう?貸すだけだぜ?」
「普通はそこまでしてくれねーよ。」
、
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