かわいそうがり

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「なんにせよ、渉が今日で部屋を決めなかったのは意外だけどな。」 「ん、どゆこと?」 「だってお前って“かわいそうがり”だろ。 良くいえば情に脆いっていうか。 「こんなに頑張って案内してくれてるんだから決めないと。」って思ったかとおもった」 「…あー、すこし。そういう考えもあったけど」 「だろうな。」 食べ終えた食器は自分で片付けて洗う。 いくらなんでも全部いつもさせるのは心苦しいし。 「お前ってそういうところある。」 それなのに、座っていないで背後をウロウロしては構いたがる拓也。 水切りしてない食器を横取って拭く。 「んー…でも、俺、自分で言うのもなんだけど自分勝手だとおもうぜ? 最後は自分の思い通りにならないと嫌だし」 「ああ、それはある。 最初と、最後だけな。なのに真ん中は相手任せで合わせるじゃん。」 ・・・・確かに、そうかも。 真希のときも美由のときも最初と最後だけは俺の意思。 でも最中は、出来るだけ相手任せだったかも。
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