性悪。

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花束を持って嬉しい気持ちで駐車場に向かう。 ―ピピッ 明るく夜道を照らす車体に回りこんで、 「わっ」 驚きの声を俺はあげた。 先に帰っていたとばかりにおもっていた真希は、壁と車の隙間、 俺の車の運転席側にしゃがんで俺を見上げていたから。 「…う、わ~…びっくりしたぁっ!」 縮こまった心臓が平常に戻るまで、胸を押さえて蹲る。 「ッテカ、なにしてんの?こんなとこで。」 「…ちょっと。」 「なに?」 背後に街灯があるせいでハッキリしない真希は、気鬱な気配。 「あのさ、ちょっと…話せないかな?」 「あ~…」 (前にもあったな、こういうの…) 一瞬だけ逡巡し、 俺は、誰にも見られないように配慮までして後部座席に真希を乗せて発進した。 ――どうせ明日から別の店。顔をあわせることもない。 でも、だ。 店の連中に引っ越しの手伝いをしてもらったということは、誰かに聞けば俺のアパートはすぐに突き止められるだろうし、そうなれば更にややこしくなる可能性がある―――。 フラレた後も拓也の部屋に侵入してきたのだ、同じコトをするかもしれない。 (…なら、今、キッチリ終わらせるのがベスト。) 車は、無言のまま繁華街を抜け、人気の無い高台に辿り着いた。 、
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