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俺の中ではとっくに過去のこと。
煩わしい記憶になってることを知らないで居るから、真希はこうなってるのもわかってる。
(でも、普通に、引くって。)
向こうがダメだったからコッチに来る、なんて。
俺みたいのが言うのもなんだけど、最低だろ。
ほんっと、なにしにきたの?てカンジ。
それでも、性格も根性も悪い俺は黙ってる真希にはそれ以上は言わない。
言葉を待ち
揚げ足取りの用意をする。
こうなってくると、沈黙は俺にとってさして苦痛じゃない。
窓の外の夜景を眺めて、頭の中を楽しい記憶で埋めていれば時間は簡単に過ぎるもの。
口元を隠すフリして手首にキスすれば、拘束される情事を鮮明に思い出す。
肌にマーキングされたことはないけれど、記憶と心に跡は何度もつけられている。
これまでどれだけ女にマーキングされても気持ちは白けうっとおしいだけだった。
何されても、俺の体は俺だけのものなのに、と。
しかし、
心に跡を残され、パブロフの犬のように拓也からの行為を教え込まれた俺の体は、もう、俺だけのものではなくっている気がする。
、
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